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ブラジル意匠制度の概要

1.権利化まで
(1)先願主義(109条)が採用されているのは、特許と同じです。

(2)無審査主義(106条)が採用されています。そのため、審査段階で通知されるOAは方式的なものだけであり、指定期間は60日です。

(3)出願日から180日間まで秘密請求が可能です(106条1項)。

(4)存続期間は出願日から10年間です(108条)。ただし、この存続期間は5年毎に3回まで延長可能であることが特徴的です。尚、満了後であっても追加料金を納付することで、180日以内に更新可能です。

2.権利化後
(1)権利付与後は、新規性・独創性に関して実体審査を請求することができます(111条)。

(2)法上に規定される主な登録要件(95条)として、下記の3つがあります。
①新規性(国内主義
②独創性
③産業上の利用可能性
特許では新規性の判断に世界主義が採用されているのに対して、意匠では国内主義が採用されている点に気をつける必要があります。

(3)その他、不登録事由として以下のものがあります。
①単なる芸術的性格を有するもの(98条)
②通常若しくは一般に備える必然的形状(100条)
③技術若しくは機能の検知から不可欠な形状(100条)
④公序良俗に反するもの(100条)

3.無効審判と無効訴訟
特許と同様に、権利に無効理由がある場合には、無効審判・無効訴訟をすることができます。
(1)無効審判(113条)
権利付与日から5年以内に請求しなければなりません(時効)。特許が6ヶ月以内である場合に比べて、かなり長い期間請求することができます。
・その他は特許と同じです。

(2)無効訴訟
※情報が入りましたら、更新したいと思います。

4.その他
部分意匠制度はありません。
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ブラジル実用新案制度の概要

・保護対象が構造・形状等に限られるのは、日本と同様です(23条)。

審査主義が採用されていますので、実体審査がなされます。

・主な登録要件(9条)は、下記の3つです。
①新規性
発明力
③産業上の利用可能性
※「発明力」とは、ブラジルで特許の進歩性より一歩下の厳しさを示すキーワードです。

・存続期間は出願日から15年間です(40条)。

登録後の無効手続き

1.無効審判(50条)
(1)無効理由が存在する特許権に対しては、無効審判を請求することができます。
特許庁が自分の職権によって、又は、利害関係人が請求できます。
口頭審理を行うことができません。
(2)権利付与日から6ヶ月以内に請求しなければなりません(時効)。
(3)審判手続きの流れ
・請求後、無効審判が公開されます。
・60日以内に権利者は答弁を行います。
・特許庁が意見書を作成して公告します。
・60日以内に当事者の両者の答弁を提出します。
・特許庁長官により審決がなされます。

2.無効訴訟
ブラジルの無効訴訟は第1審として位置づけられており、第2審と位置づけられている日本の審決取消訴訟とは性格が異なります。例えば、上述したように無効審判は時効が短いので、それ以降は無効訴訟を行う必要があります。また審決に不服がある場合も無効訴訟を行うことができます。

※無効訴訟については、ブラジルの民事訴訟法なども考慮する必要があるので、現時点では十分な情報が集められていません。今後、新たな情報が入りましたら、更新していきたいと思います。

ブラジル特有の制度いろいろ

その他、ブラジルに特徴的な制度について説明します。

(1)出願公開から審査締結前までは、情報提供が可能です。ただし匿名は不可とされています。

(2)異議申立制度はありません。

(3)継続出願(76条、77条)
出願及び特許と同じ発明概念に含められる改良や進歩は、発明追加証明書で追加することができます。これにより、追加事項自体に進歩性が欠けていても、原出願と共に保護できる点がメリットと言えます。
 尚、存続期間は原出願が基準となります。

(4)ANVISA
医薬系発明については、特許庁に加えてブラジル国家衛生監督局(ANVISA)でも審査されます(つまり二重審査が行われます)。ANVISAでは、公衆衛生を害するおそれがある発明であるか否かを承認する審査が行われます。

審査段階の制度いろいろ

1.オフィスアクション
次の2種類があります。
(1)方式的なOA(34条)・・・指定期限は基本的に60日です。

(2)実体的なOA(36条)・・・指定期限は基本的に90日です。

2.補正
☆客体的要件
新規事項追加は不可です。

☆時期的要件
補正が可能な時期は、下記に制限されています。
・審査請求までは自発補正可能(32条)
・OA応答時(35条3項及び4項)
・拒絶査定に対する不服申立時(36条)

3.分割出願(26条)
技術上の審査が終了するまで、いつでも可能です。
プロフィール

渡邊裕樹

Author:渡邊裕樹
弁理士の渡邊裕樹です。特許・商標を中心に、国内外の知的財産業務に従事しています。権利化・調査・鑑定・審判・係争など、幅広く取り扱っています。

☆経歴☆
・山形県出身
・東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻修了(理学修士)
・計測機器エンジニアを経て、2007年に弁理士試験合格(弁理士登録番号:15913)。その後、大手特許事務所を経て、権利化業務を中心に知的財産業務に従事中。

☆使用言語☆
日本語、英語、中国語

☆所属団体☆
・日本弁理士会(JPAA)
・アジア弁理士協会(APAA)

☆その他☆
・日本弁理士会関東支部 常設知的財産相談室 相談員
・知財総合支援窓口 派遣専門家
・東京都知的財産総合センター 登録相談員
・日本弁理士会 知財キャラバン事業 支援員
・ジュニア野菜ソムリエ

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