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今年8月から日米協働調査が開始

2015年(平成27年)8月1日から、日米間で新たな取り組みが実施されるリリースがありました。
ポイントは次の2点。

①日米協同調査
日米両国に特許出願した発明について、日米の特許審査官がそれぞれ調査を実施。調査結果及び見解を共有した後に、それぞれの特許審査官が、それぞれ早期かつ同時期に最初の審査結果を送付する。

②国際調査等の管轄拡大
米国へのPCT出願の一部について、JPOが国際調査・国際予備審査を管轄することになります。

適用要件(有料or無料、申請必要)など詳細は不明ですが、日米両国における早期権利化の新たな一手になりそうです。

詳しくは公式リリースを参照ください↓
http://www.meti.go.jp/press/2015/05/20150521001/20150521001.html
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米国特許庁 コロラド・デンバーにオフィス新設

6月30日に、コロラド・デンバーに新しいサテライトオフィスが開設されました。
デトロイト、カルフォルニア、ダラスにつづいて、4つ目のサテライト・オフィスとなります。
デンバーは空白地帯だった中央内陸部に位置していますので、近辺の出願人にとっては利便性が格段に向上しそうです。
将来的には審判部(PTAB:Patent Trial and Appeal Board)も開設されるようです。

現在のUSPTOの組織
・Alexandria, Varginia. Headquarters
・Dallas, Texas
・Denver, Colorado.
・Detroit, Mich.
・Silicon Valley, California.

※USPTOの組織
http://www.uspto.gov/about/locations/index.jsp

※Denver officeの新設に関するリリース
http://www.uspto.gov/news/pr/2014/14-21.jsp

日米間の審査協力強化のリリース

少し前になりますが、来年度(平成27年4月1日)から日米間で新たな審査協力体制が開始されることがリリースされました。

①米国が受理したPCT出願について、日本特許庁が国際調査・国際予備審査を行う。
 簡単に言えば、日本の管轄国を米国に拡大するというものです。ちなみに、試行の対象案件の目処を「3年間で5,000件」とありますので、日本の年間国際出願件数が4万件強(2012年統計)を考えると、決して多くはないようです。

②日米審査官の協働審査を実現する。
 技術的に内容が関連し、日米で一括して権利取得をしたい一群の出願については、日米の審査官がまとめて審査されるようになります。例えば日本の進歩性判断と米国の非自明性判断との間にギャップがあるために、仮に日本で特許になっても米国では認められない場合がありましたが、このようなケースを解消して両国での効率的な権利取得が期待されます。
 特に注目すべきは、このリリースには「必要に応じ、出願人から出願群に関する技術的な背景の説明を行う」との記載があります。これにより、例えば日本の審査官との面談によって、米国での特許化が促進できる点にあります。これは、実質的に日本で米国審査官との面接が可能になることに近いと考えられます。慣れた日本語で米国の審査結果について面接ができることはスムーズな権利化につながりますし、米国代理人に面接を依頼する場合に比べて大幅なコスト削減も期待できるのではと思われます。

詳細はこちらからどうぞ。

現地代理人への指示書作成についての考え方

 外国語(英語)で指示書(instruction)を作成する際に、特に気をつけている2つのポイントがあるので紹介します。それは「簡潔性」と「正確性」です(あくまで個人的な考えですが・・・)。

(1)簡潔性
 指示書が長いほど、現地代理人が理解するために、時間を有してしまうことを意識します。特に米国代理人はタイムチャージ制を採用しますので、コスト削減にも有効です。
 そしてなにより、反論のポイントもわかりやすくなります。そのためには、単純な拒絶理由のコピーで冗長になることは極力避け、拒絶理由のどのポイントについて反論するのかがわかる程度に、余計な記載がないようにします。このようにすることで、応答方針のポイントが明瞭に理解できますので、作業効率もアップします。
 また現地代理人の立場からすると、こちらの指示書の内容を全て庁提出書類に反映させようとします。例えば無意味と思われる拒絶理由のコピーや、言語的に不明瞭な指示であっても、あとで「こちらの指示が反映されていないじゃなか!」と言われるリスクを避けるために、なんとか理解して文章化しようとすると思います。その結果、反論のポイントがぼやけてしまい、こちらの意図に沿った審査が十分に行われない可能性が出てきます(実際、米国などでは、あまりに長々とした主張は全部読んでくれない審査官もいるようです)。

(2)正確性
 技術的に正確であることは当然ですが、外国語で指示書を作成する場合には、言語的な正確性にも気をつけています。特に、我々は他国の公用語に対してノンネイティブであることを十分に踏まえて、自分のレベルに合った表現で、情報を確実に伝達することを最重要視する必要があると考えています。長々とした論述になると、どうしても不正確になりがちですので、簡潔な表現で確実に伝えるようにしています。例えば、進歩性・自明性違反に対して指示をする場合には、引例との差異(構成上の相違点)や反論方針(阻害要因、後知恵など、どれを主張すべきか)といった単位で、箇条書きしてしまいます。
 現地代理人にとって我々は顧客になりますので、指示書がわかりにくい場合であっても、不平不満を言いにくい立場にあると考えられます。現地代理人の性格を考えますと、「我々の指示書のクオリティはどうか?」と質問しても、よほど酷くない限り、「問題ない」と無難な返答しかないと予想されます。そのような事情を察して、より正確な情報伝達がなされるように、自ら配慮することが大切だと思います。
 また現地代理人は、応答ポイントさえ正確に把握できれば、それを文章化することは得意分野です。我々は外国語表現がネイティブに比べて劣っていることは免れようのない事実です。そこは素直に認めた上で、相手の得意能力を利用できる指示書作成が好ましいのではないかと考えています。


※最後に、このような考えに至るにおいて、とても役になった記事がありましたので、以下に紹介します。これらの記事は、米国特許事務所に勤務されている吉田哲先生が作成されたものです。米国特許事務所の立場から日本弁理士の評価・問題点について、多くの検討がなされており、私たち日本人にとって貴重な情報がたくさん紹介されています。

「保守的な米国代理人の存在理由と米国代理人への指示形態の改善点 」日経知財Awareness (2009, 10)
「米国知財マネージメント -タイム・チャージの罠、日本側の誤解- 」 知財管理, Vol.58, No.12 (2008, 12)
「米国実務効率化の障害とその対策」知財管理, Vol.57, No.9 (2007.9)

米国のソフトウェア関連発明事情

米国は判例法ですので、過去の判決が大きな影響力を有しています。ここでは、ソフトウェア関連発明に関する2つの重要判決を紹介し、米国におけるソフトウェア関連発明の現状について言及したいと思います。
(1)State Street 事件判決(1998年)
 代表的なソフトウェア関連発明としてビジネスモデル特許があります。従来、ビジネスモデル特許は抽象的概念として特許対象にはならないとされていましたが、米国のState Street事件判決で特許性を認める判決がなされたことをきっかけに世界中でブームとなりました。
 ちなみにState Street事件判決では、ビジネスモデルに特許性を認める要件として、useful(有用)、concrete(具体性)、tangible(実体のある結果)を求める内容でした。

(2)Bilski事件判決(2008年)
 この事件では、方法クレームの保護適確についての判断方法として、Machine or Transformation (MOT) testが示されました。MOT testは、保護的確性を有するか否かは、クレーム中に特定の機械との結びつきや、特定の物を異なる状態への変化させることによって判断すべきとしています。
 高裁では的確性判断にはMOT testが必須であると結論付けましたが、最高裁ではMOT testが唯一の判断方法ではないとしました。

☆まとめ
 State Street判決ではソフトウェア関連発明について広く保護適確性を認める方向の判決がなされましたが、その後のBilski高裁判決ではMOTテストによって厳格に判断すべきとの判決がなされました。そのため、2000年前後のブームは収まりを見せています。しかしながら、Bilski最高裁判決ではMOTテスト以外でも適確性が認められうるとの結論に至っており、現在でも米国の判断基準はあいまいであると言えます。
 但し、あいまいな中でも厳格な判断基準であるMOTテストをクリアすれば、保護適確が認められる可能性はかなり高いといえます。従いまして、米国でソフトウェア特許を取得する場合には、MOTテストをクリアすることをターゲットにクレーム・明細書作成するとよいと思います。
プロフィール

渡邊裕樹

Author:渡邊裕樹
弁理士の渡邊裕樹です。特許・商標を中心に、国内外の知的財産業務に従事しています。権利化・調査・鑑定・審判・係争など、幅広く取り扱っています。

☆経歴☆
・山形県出身
・東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻修了(理学修士)
・計測機器エンジニアを経て、2007年に弁理士試験合格(弁理士登録番号:15913)。その後、大手特許事務所を経て、権利化業務を中心に知的財産業務に従事中。

☆使用言語☆
日本語、英語、中国語

☆所属団体☆
・日本弁理士会(JPAA)
・アジア弁理士協会(APAA)

☆その他☆
・日本弁理士会関東支部 常設知的財産相談室 相談員
・知財総合支援窓口 派遣専門家
・東京都知的財産総合センター 登録相談員
・日本弁理士会 知財キャラバン事業 支援員
・ジュニア野菜ソムリエ

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