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PCT用語集

PCT関連用語について、和英対訳をリストアップしました。現地代理人への英文レター作成などにお役立てください。

特許協力条約 Patent Cooperation Treaty (PCT)
PCT国際出願 PCT international application
受理官庁 Receiving Office
国際調査 International Search
国際調査機関 International Search Authority
国際調査報告 International Search Report
国際調査機関の見解書 Writthe Opinion of the International Search Authority
19条補正 Amendment under Article 19 of the Treaty
非公式コメント Informal Comment
国際予備審査機関 International Preliminary Examining Authority
国際予備審査報告 International Preliminary Examining Report
国際予備審査機関の見解書 Written Opinion of the International Preliminary Examining Authority
国際段階 International phase
国内段階 National phase
指定国 Designated Countries
国内段階への移行 entry into national phase
締約国 Contracting States
指定官庁 Designated Office
選択官庁 Elected Office
国際事務局 International Bureau
世界知的所有権機関 World Intellectual Property Organization (WIPO)
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【PCT規則改正情報】国際調査機関の見解書・非公式コメントの公開時期について

7月から適用されるPCT規則改正のなかに、実務上重要な項目があるので記載しておきます。

 これまで、国際調査機関が作成する見解書は、優先日から30か月が経過するまで公開されませんでした(規則44の3)。しかし、今回の改正で当該規則が削除されます。これにより、2014年7月1日以後に出願された国際出願については、国際公開時に、国際調査機関の見解書、及び、非公式コメントが公開されることになります
 ちなみに、特許性に関する国際予備報告(特許協力条約第一章)1とその翻訳文は、従来どおり、優先日から30か月後に公開されます。

http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/kokusai/pct_kaisei_201406.htm

国際予備審査

 国際予備審査は、国際調査機関の見解書の送付から3月、又は、優先日から22月のいずれか遅く満了する期間に、国際予備審査機関に対して直接請求書を提出することで請求できます。

・国際調査機関の見解書は最初の予備審査機関の見解書とみなされるので、これに基づいて、国際予備審査報告書を作成することが可能となります。そして報告書に対しては、34条補正(規則66)を行うことができます。

・34条補正では、補正前後の相違点、及び、補正の根拠を書簡で示す必要がありますが(規則66.8)、これを怠ると補正が行われなかったものとして国際予備審査報告が作成されてしまうので注意が必要です(この場合、JPOが国際予備審査機関であるときには、非公式に連絡をしてくれます)。

国際調査

PCT出願の国際段階では、国際調査が行われます。国際調査は、出願と関連ある先行技術を発見することを目的としており(条約15条(2))、国際調査機関が調査用写しを受理した日から3月、優先日から9のいずれか遅く満了する期間内に国際調査報告が作成されます。また国際調査報告と共に、国際調査見解書にて「新規性」「進歩性」「産業上の利用可能性」について、拘束力のない見解が示されます。
 ここで見逃され易い事項としては、国際調査報告は国際出願日を基準に先行技術を示しているのに対して、見解書は国際予備審査と同様に優先日を基準に見解を示している点に注意が必要です。

(1)国際調査報告と見解書への応答
 国際調査報告では、発見された文献について、本願との関連性に応じて分類がなされます。分類はたくさんありますが、実務上重要なのは次の3つです。

X文献・・・関連性が高く、単独で新規性・進歩性を否定しうるもの
Y文献・・・関連性があり、他の文献との組合せにより進歩性を否定しうるもの
A文献・・・背景技術を述べている文献であり、参考程度のもの

 捉え方は個人差があると思いますが、私の場合は以下のような感覚で判断しています。
 まずX文献は非常に近い従来技術なので、国内移行後も先行文献(たぶん主引例)として引用されることは確実です。おそらく新規性・進歩性違反になってしまうことは目に見えていますので、19条補正でメインクレームで差別化できるように補正するようにしています。
 一方、Y文献はケースバイケースではありますが、これも必要に応じて19条補正で対応するようにしています。例えば、メインクレームを補正しなくても、従属クレームを補正・追加します。
 このように国際調査報告を利用して積極的な対応を行うことで、移行後に通知されるOAにて、できるだけ有利なポジションが示されるように配慮しています(一発許可まではいかなくても、いくつかの許可クレームが示されるくらいだいと理想的です)。

(2)19条補正と非公式コメント
(1)でも言及した19条補正は、国際調査報告の送付から2ヶ月、または優先日から16月のいずれか遅く満了する期間に、クレームについて1回だけできます。
・19条補正は、国際出願の言語で、国際事務局に対して行います(注:国際調査機関に対してではありません)。
・また19条補正前後における相違点、及び、補正の根拠は、英語又はフランス語で作成した書簡で提出しなければなりません(注:日本語NG)。
・国際予備審査を請求しない場合には、非公式コメントを提出することができます。

PCT出願と国内優先権

国内出願を基礎に優先権主張してPCT出願する場合、みなし全指定されます。そのため、日本については国内優先権、他国についてはパリ優先権を主張することとなります。パリ優先権は問題ないのですが、国内優先権の主張は、このままでは基礎出願が1年3月後に取下げ擬制されてしまうことになるので注意が必要です。

(1)基礎となる国内出願を残したい場合
・出願時にPCT出願の日本指定を除外する。
・出願時に指定除外を忘れた場合には、出願後に日本指定を取り下げる(規則90の2)。
・上申書による国内優先権主張の取り下げ
※基礎となる国内出願の審査がすでに進んでおり、審査結果の相当部分を国際調査報告に利用できる場合には、国際調査手数料の一部返還を利用可能です。

(2)基礎となる国内出願を残さない場合
基礎出願は1年3月後に取下げ擬制されることになりますが、以下の効果を得られます。
・審査請求料が40%減額されます。
・権利存続期間の起算日が国際出願日になります。
プロフィール

渡邊裕樹

Author:渡邊裕樹
弁理士の渡邊裕樹です。特許・商標を中心に、国内外の知的財産業務に従事しています。権利化・調査・鑑定・審判・係争など、幅広く取り扱っています。

☆経歴☆
・山形県出身
・東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻修了(理学修士)
・計測機器エンジニアを経て、2007年に弁理士試験合格(弁理士登録番号:15913)。その後、大手特許事務所を経て、権利化業務を中心に知的財産業務に従事中。

☆使用言語☆
日本語、英語、中国語

☆所属団体☆
・日本弁理士会(JPAA)
・アジア弁理士協会(APAA)

☆その他☆
・日本弁理士会関東支部 常設知的財産相談室 相談員
・知財総合支援窓口 派遣専門家
・東京都知的財産総合センター 登録相談員
・日本弁理士会 知財キャラバン事業 支援員
・ジュニア野菜ソムリエ

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