fc2ブログ

今年8月から日米協働調査が開始

2015年(平成27年)8月1日から、日米間で新たな取り組みが実施されるリリースがありました。
ポイントは次の2点。

①日米協同調査
日米両国に特許出願した発明について、日米の特許審査官がそれぞれ調査を実施。調査結果及び見解を共有した後に、それぞれの特許審査官が、それぞれ早期かつ同時期に最初の審査結果を送付する。

②国際調査等の管轄拡大
米国へのPCT出願の一部について、JPOが国際調査・国際予備審査を管轄することになります。

適用要件(有料or無料、申請必要)など詳細は不明ですが、日米両国における早期権利化の新たな一手になりそうです。

詳しくは公式リリースを参照ください↓
http://www.meti.go.jp/press/2015/05/20150521001/20150521001.html
スポンサーサイト



広報誌掲載のお知らせ

すでに御覧頂いている方もいると思いますが、新たに創刊した知財広報誌「パテナビ」さんに私の記事を掲載させていただいています。
創刊号には簡潔な内容ではありますが、私のインタビュー記事が掲載されていますので参照ください。

このパテナビさんには、今月号から新たに連載コラムを担当させていただいています。今月号も発送が始まっているようですので、もしお手元に届いた方は一読いただけますと幸いです。

その他、今年は論文投稿などを含め、事務所だけでなく弁理士個人としても活動の幅を広げていく予定です。

カバー音楽と著作者人格権

今回は嗜好を代えて著作権法のトピックです。今朝、テレビニュースで報道されていた歌詞改変訴訟(詳細は、ヤフーニュースを参照)。

 通常、音楽著作権は、著作者から音楽出版社に譲渡され、更にJASRAC等の管理事業者によって管理されています(詳細は業界構図が複雑ですので、著作権を使用する際にはJASRAC等に使用料を払えばよいとざっくり理解していただければよいです)。しかしながら、他人のカバーをする場合には大元の著作物を少なからず改変することになりますので、一般的な著作権に加えて著作者人格権が問題になってきます。
 著作者人格権は、公表権、氏名表示権、同一性保持権からなりますが、今回の訴訟で問題となっているのは同一性保持権です。同一性保持権は、著作者の意に反する改変を受けない権利です。そのため、著作者の意に反するようなタイトル、歌詞、フレーズの変更・追加・削除は同一性保持権を侵害する可能性があります。
 被告側は、「原曲タイトル with アーティスト名という形式的なフォーマットで使用しているため、タイトルの改変には該当しない」「曲を美しくするために短いフレーズを付加しただけ」という主張のようですが、これがどの程度同一性保持権を侵害するのかというのは微妙であり、これは裁判所の判断によるしかないと思います。
 一方で、原曲の改変を伴うカバーをする場合には予め著作者に許諾を得ることによって、このようなトラブルを事前防止することが一般的です。今回の騒動は、このような事前許諾をきちんと行っていないことが一番の原因のように感じられます。そのため、曲の改変に該当するか否かといった微妙な判断より、事前に許諾確認を行わなかった事情などによって判決が左右されるのではないかと予想します。
 同じような楽曲の改変に伴う著作者人格権に関する判例として、「大地讃頌事件」が有名ですので、興味のある方は一読すると面白いと思います。

中韓公報の翻訳検索システム

明けましておめでとうございます。年末年始は所用もあったので、ずっと台湾で過ごしており、昨夜帰国いたしました。生活パターンを戻すのに一苦労しそうですが、今年も日進月歩で活動していきたいと思っています。どうぞよろしくお願い致します。

特許庁で中韓文献の翻訳・検索システム(http://www.ckgs.jpo.go.jp/)が運用開始となりました。中韓文献を日本語訳ベースでIPC・キーワード検索できるので、なかなか実用性に優れているようです。しかも無料!

私も昨年から中国語を勉強し始めてHSK3級まで取得しましたが、特許文献は特殊表現が多いのでまだ難しいのが正直なところですが、こういった便利なシステムをうまく併用しながら実務に行かしていこうと思います。

少し雑談になりますが、先日まで滞在していた台湾でも中国語(北京語)が使われているので、早速HSKで勉強した成果を実感することができました。でも中国語は発音がとてもむずかしいので、頭ではわかっていても思うように話せないケースも多々ありました。特許実務で中国語を勉強していても、どうしても読み書き中心になってしまうので、これからは現地代理人が弊所に来たときのためにも少し雑談できる程度の会話スキルも準備しておきたいと思います。

台湾は温暖で快適な気候なだけでなく、とても親日的で多くの友人を作ることができました。機会があれば、ぜひまた行きたいと思います。

国内中間処理にみるSSIP式コスト削減方法

 特許査定までのトータルコストは、拒絶理由への対応の仕方によって大きく影響されます。対応の仕方がよくないと拒絶理由の通知回数が多くなり、その結果、拒絶査定になる確率が高くなってしまいます。
 権利範囲を不必要に狭めることなく、少ない拒絶理由の通知回数で特許査定に至るように、以下のポイントを基本的考えとして

(1)拒絶理由の妥当性を慎重に検討する。明らかに妥当でない場合には、補正を行わず意見書のみでの反論も検討する(ちなみに、補正なしの反論は覆る可能性が高くないのも現実ですので、この場合、面接審査も積極的に提案する)。

(2)メインクレームについては必要十分な補正のみを行い、過度な限定補正を行わない

(3)メインクレームの補正に終始せず、権利化のポイントになる箇所については、従属クレームの補正、新クレームの追加も積極的に検討する。これにより、仮に再度拒絶理由が通知されることになっても、次の対策を効率的にたてることができます。
※外国出願の場合には、各国制度によって対応が変わります。

 このように中間処理においても、権利範囲を確保しつつ、拒絶理由の通知回数を抑えることでトータルコスト削減を実現しています。この方法がうまく機能している証拠として、SSIPの拒絶理由通知の克服率は非常に高い水準を維持しています。


※ちなみに、「新規出願から始まるSSIP式コスト削減方法」は、こちらからどうぞ↓
http://jpatwatanabe.blog.fc2.com/blog-entry-113.html
プロフィール

渡邊裕樹

Author:渡邊裕樹
弁理士の渡邊裕樹です。特許・商標を中心に、国内外の知的財産業務に従事しています。権利化・調査・鑑定・審判・係争など、幅広く取り扱っています。

☆経歴☆
・山形県出身
・東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻修了(理学修士)
・計測機器エンジニアを経て、2007年に弁理士試験合格(弁理士登録番号:15913)。その後、大手特許事務所を経て、権利化業務を中心に知的財産業務に従事中。

☆使用言語☆
日本語、英語、中国語

☆所属団体☆
・日本弁理士会(JPAA)
・アジア弁理士協会(APAA)

☆その他☆
・日本弁理士会関東支部 常設知的財産相談室 相談員
・知財総合支援窓口 派遣専門家
・東京都知的財産総合センター 登録相談員
・日本弁理士会 知財キャラバン事業 支援員
・ジュニア野菜ソムリエ

ご質問・お問い合わせフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

訪問者数
最新記事
カテゴリ
リンク